いつの間にか、emacsキーバインドが体に染みついてしまいました。もはや、標準的なWindowsのエディタを使うことはできません。カーソルを移動させようと思うとファイルを開いてしまったり、印刷を始めてしまったりしてしまうのです。
そんなわけで、ふと思い出したように、いろいろなエディタを探す旅に出てしまうことがあります。Windows上で、自分の要望を適度に満たしてくれるエディタはないものか、開発環境はないものか。キーバインドはemacsに準じたもので、しかしWindowsネイティブなプログラムであって動作は軽快、設定も分かりやすくグラフィカルであってほしい。内部はRubyもしくはJavaScriptが組み込まれていて、簡単にスクリプトを利用することができる。そんな、使いやすいエディタはないものか。
そこまで考えているなら、自分で作れって話ですが。
まあ、それはそれとして。既存のものを頑張って作る必要はありませんから、まずはリサーチすることが肝要なわけです。
かつて使っていたのはxyzzy。emacsに準じた操作方法、Lispインタプリタ内蔵、動作も軽快と、希望を満たしてくれるソフトウェアでした。しかし、ある時期を境に、更新が止まってしまいます。現在ではソースも公開されており、これを改変することによって自分の希望を満たすようにできるのかもしれませんが、うーむ。現状でも十分な性能を持っているので、とくに更新されなくても構わないように思えますが、いまは使っていません。また使おうかな…。
次に見つけたのは、エディタではありませんが、xkeymacs。Windowsのフックを使って、あらゆるアプリケーションをemacsバインドにしてしまおうという、ちょっと野心的なソフトウェアです。確かに、このアイディアは素晴らしいところがあります。しかし、もともとemacs的な機能を持っていないソフトウェアについては、無理があります。そのため、こればかりに頼るというわけにもいきません。たとえば、Ctrl+X Ctrl+Fは、メニューから「ファイルを開く」という項目を探して、それを実行しているように見えます。そのため、メニューの記述が一般的なアプリケーションと異なっている場合などは、この機能が働かないということになります。
しかし、ちゃんと適合するソフトウェアであれば、emacsっぽく使うことができるようになります。Peggy Padは、そのような要件を満たすエディタのひとつでした。スクリプトなどの機能はありませんが、軽快で、テキスト編集には十分な機能を持っているソフトウェアです。企業が作っているということで、それなりに(いろいろな)信頼が置けそうだというところもポイントです。まあ、そんなものは主観にすぎず、本当に信頼できるかどうかは分からないのですが。とりあえず、けっこうな期間使いましたが、信頼が裏切られたようなことはありませんでした。
Meryというソフトウェアもあります。これはスクリプトを使うことができたり、プラグインを使うことができたり、拡張性に優れています。エディタとしての機能は、標準的。ちなみに、スクリプトはWindows Scripting Hostをサポートしているようで、JScriptとVBScriptがサポートされているとのこと。しかし、Delphiで作られているためか、ちょっとxkeymacsとの相性はよくありません。
いろいろと巡ったところで、行き着いたところは、emacsだったりします。最近のビルドはWindowsでもそのまま動くようになっており(バイナリ配布されているものを使った場合)、ある程度はGUIを使って操作することができます。しかし、Windows APIを直接に使うようなものではないようで(何かのツールキットを使っている様子)、GUIまわりにちょっと不安があります。しかし、期待しているすべての機能を満たしており(そりゃemacsなんだから当然だ)、機能的には満足です。Emacs Lispがよく分からないので、ちゃっちゃっと設定を書いたりすることができないというのが難点ですけれども。
なんだか、いろいろ探していたら、最初にいた位置に戻ってきたという感じです。しかし、最近のemacsはWindowsでも使えるように対応が進んでおり、また、国際化も進んでいて、UTF-8が普及したからか、日本語なども問題なく扱えるようになっています(ただ日本語入力するときはインラインに書き込めない。これは何とかしてほしい。自分でコントリビュートすればいいのだろうが)。