司法修習生のひとりごと – はじめに

しばらく前のことになりますが、何をどう間違ったのか、司法試験に合格してしまいました。

手続なども済み、今月末からは新第65期の司法修習生として一年間の修行を積むことになります。修習の日々を自分の中だけで終わらせてもいいのですが、せっかくブログという外部発信の場を持っているのですから、修習の日々で感じたことや修習そのものについて、記事として書いていきたいと思います。というのも、つい先日、知り合いに誘われて飲み会をしていたのですが、その席上で「司法修習って何やるの?」「司法試験に受かったらもう弁護士になれるの?」というような質問があり、法曹の世界の仕組みというものがあまり知られていない事実に(いまさらながら)気付いたということがあります。ここで司法修習について書くことで、「司法修習生というのはこういうことをやっているんだ」「法律家になるためにはこういうことをやるんだ」ということを伝えることができればいいなと思っています。(そういうことが十分に伝われば、給付金制度の廃止がいかにトンデモであるか、それを断行した民主党がいかに国民のことを考えていないか、という理解も広まっていくハズ!)

さて、最初に書かなければならないのは「守秘義務」についてです。

司法修習とは、平たく言えば、法律実務家になるための「訓練期間」です。しばらく前に流行った言葉でOJT (On-the-Job Training)というものがありますけれど、それと同じようなものだと考えていいと思います。つまり、実際の事件を処理しているところ(裁判の法廷であったり弁護士事務所の会議室であったり)に司法修習生が入っていき、裁判官・検察官・弁護士の指導を受けながら、実務について学んでいくのです。

そうなると、司法修習生は現実に起こっている事件の処理に関与し、それらの資料を見ることになります。ほかにも、弁護士との相談の中だけで出てくるような話を聞くことがあるかもしれません。これらは立派な個人のプライバシーです。みだりに他人に知らせることは、重大なプライバシー侵害となりますし、法曹や司法修習制度の信用性にも関わります。そのため、司法修習生には(その他の法曹についても当然そうなのですが)重い守秘義務が課せられています。事件で知った秘密を他人に話してしまったり、インターネットで発信することは絶対に許されません。

そんなわけなので、個々の事件について触れた記事は書きません。守秘義務に触れない範囲で、書けることだけについて紹介していきたいと思っています。

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