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ディー・オープニング
小さな月の夜。俺とモーブは、とある貴族の城を襲った。
モーブは孤児院の仲間で、歳も背も気持ちも小さいが、身軽だから役に立つだろうと思っていた。
しかし、モーブがドジったことで捕まってしまった。
次の夜。
カルア砂漠を走る囚人護送車の中に、俺達はいた。
神の塔という遺跡で、発掘の人足にされるらしい。
「いまだかつて、神の塔から逃れた者は居ないわ。」
ローブを纏った女の囚人が、怪しく微笑みかけた。
神‥‥酷え話だ。
この俺が、神様なんかの為に働くとはな。
長い道のりの末、馬車は神の塔の大門までたどり着いた。
護送人と門番が挨拶し、大門が開かれた。
その時だった。
ローブの女が呪文を唱え、手枷を外し激しい爆炎を起こした。
彼女は、妖炎のメルメラーダと異名をとる魔術師。
塔に眠る財宝を求め、わざと囚人になった女盗賊だったのだ。
俺達は爆炎に吹き飛ばされて、瓦礫の上に転がった。
塔へ向かうメルメラーダの笑い声が、辺りにこだまする。
立ち上がろうとする努力も虚しく、俺は気を失ってしまった。
モーブへの心配と、メルメラーダへの怒りを最後に‥‥。


ガラハッド・オープニング
どうも、ガラハッドです。
まあ長いこと考古学者なんてものをしておりますと、様々な事に出会うもので。
人生というものは、どこまでいっても山あり谷ありですな。
もちろん小生、この仕事を天職と思っております。
楽しいことばかりではありますが、たったひとつ、これだけは駄目。
勘弁してくださいというものがあるんです。
‥‥それは、幽霊、なんです。
なにせ研究対象が、遺跡やお墓のわけですから、結構遭うんですよ。
背筋に来る、あのイヤーな感じ。
呪いとか、金縛りとか、恨みとか‥‥。
いやはや、何度遭っても慣れませんねえ、あの怖さは。
‥‥そしてあれは、カルア砂漠の「神の塔」を調査したときです。
あの時の経験は、小生にとって生涯忘れられないものになりました‥‥

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