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迷宮1
ディー
「うっ‥‥いてて。
 頭がジンジンする‥‥くそっ
 ひでえ目に会ったぜ。
 ‥‥そうだ、おい。モーブ!
 何処だ?大丈夫かっ。」
ディー
「ここは‥‥どこだ?」
ディー
「鉄格子‥‥ってことは、ちくしょうっ!
 結局、捕まっちまったか!」
囚人
「新入りさんよぉ、静かにしてくれねえか?
 うるさくて眠れやしない。」
ディー
「なあ、あんた。
 俺の相棒のハーフエルフを知らないか?」
囚人
「今日は3人の新入りがあるって聞いていたが、ここへ運ばれたのはお前1人だけだ。
 聞いた話じゃ、護送馬車で事故が起こったそうじゃないか。
 囚人が2人、逃げ出したってよ。
 いつまでも、おねんねしてたお前だけが、収容されたって訳だ。
 へへっまぬけな話だなあ。」
ディー
「なんだって‥‥!?
 捕まったのは俺だけなのか?
 じゃあ、モーブはどこに‥‥?」
囚人
「知らねえよ。
 あ〜ふ‥‥眠い。
 俺は寝るぜ。
 おやすみ‥‥」
看守
「おい新入り、何をしている!
 お務めの時間だぞ。」
看守
「てめえの仕事は魔獣の駆除だ。
 分担場所に案内してやる。
 ついて来い。」
看守
「言っておくがな。
 脱獄なんて下手な考えは起こすな。
 楽に刑期を終わらせたければな。
 ま、俺様に素直に従ってりゃ悪いようにはしねえ。
 いずれここが大好きになるぜ。」
看守
「ここらは足場が悪い。
 気ぃつけろ。
 死んでも面倒見ねえぞ。」
看守
「ここだ。
 武器はこいつを使え。」
ウィップを受け取り、装備しました。
看守
「全部片づけたら戻ってこい。」

看守 「全部片づけたぁ?こんな早くにか。  嘘をつけ!もう一度見回ってこい!」
看守 「もう、終わったか。  じゃあ、さっさと牢に戻れ!」
囚人 「うう‥‥よせっ  くるなっ魔物め‥‥  うう〜ん‥‥」
囚人 「ここの看守はまぬけだぜ。  いままで許した脱獄は数知れず。  奴ぁすぐ寝るからな。ヒッヒッ。」
囚人 「ほう、良い手をしてやがるな。  おっと、変な趣味じゃあねえよ。  おめ、盗みで捕まったんだろ。  ん?  ここじゃあその手は役に立つぜ。  欲しいモノがあったら遠慮なく盗んでおくんだな。」
囚人 「今日も明日も魔獣狩り。  俺たちはそのためにここに送り込まれたんだ。」
囚人 「脱獄?簡単さ。  この監獄は昔のモノをそのまま使ってるから鍵の閉まらねえ格子があるんだ。  ただ問題は、脱獄した後だよ。  魔物の晩飯か、砂漠で干上がるか。  どっちにしてもぞっとしねえな。」
囚人 「灼熱の砂漠は天然の看守だ。  人間の看守は突破できても、あれは装備無しでは越えられねえ。  だからここにいる奴ぁ脱獄しねえんだ。  わかるか?」
囚人 「この塔はいつ、誰がなんの目的で建てたんだろうな。  何もはっきり解っちゃいないのに、ヌビアール教の奴等はここを神の塔と呼んでいるんだ‥‥」
看守 「んん〜むにゃむにゃ‥‥  ‥‥ごっくん。」
看守 「おい、何やってんだ!?」 看守 「ほ〜ら、捕まえた!  いままで、この俺から逃げられた奴はいねえんだ。」 看守 「おい、お務めの時間だ。」
看守 「ああっ!!  閉めたな、この扉を!  ちくしょう、この扉は、こっちからじゃ開けられねえんだ!  こら!  開けろ!  開けてくれ!  ‥‥開けてくれよ。  なあ。  お願いだから、開けてくれ!  後はなんにもしないからさ。  いいだろう?  約束するよ。」 → 扉を開ける 看守 「うへへ。  甘い。  甘いなあ。  こんなことして、許すと思うのか?」 → 立ち去る ディー 「てめえの大好きな監獄に、いつまでもいられるんだ。  俺に感謝しろよ。  じゃあな。」
ディー 「モーブ!なんだ無事だったのか。  あの砂漠で遭難してないかと思って心配したぜ。  よし、そうと決まれば長居は無用。  砂漠越えの装備をかっぱらって、早くここからずらかろうぜ。」 モーブ 「ディー‥‥  ‥‥変なんだ‥‥」 ディー 「ん?なにが?」 モーブ 「初めて来たはずなのに、なんだかここは懐かしいんだ‥‥。  ディー‥‥  ‥‥ボク、行かなくちゃ‥‥  何故だかわからないけど‥‥。  ボク、ここでやらなくちゃいけない事があったような気がする‥‥」 ディー 「何言ってるんだよ、モーブ。  大丈夫か!?」 ディー 「!?モ、モーブ!どうした!」 ディー 「‥‥消えた‥‥??  あいつ魔法なんか使えない筈なのに‥‥」


迷宮2
この棺桶は周りの物に比べ異彩を放っていた。
華美な装飾が施され、天井から明かりに照らされている。
この塔を建てた国の王か、それとも女王の物だろうか。
蓋には鳥の翼、側面には蛇を象ったような美しい紋様がある。
恐る恐る中を見たが、空だった。
驚くほど綺麗で、砂一粒無く清潔である。
既に発掘されたのだろう。
ディーはその場を立ち去ろうとしたが、一瞬なにか強い力に遮られた。
だが、その力はやがて霞のように消えた‥‥

棺桶にはまだ中身が存在していた。 しかしその殆どは風化しており保存状態はあまり良くなかった。 中身を覆うぼろぼろの布には、所々青い装飾が見える。 高い位の人物であることが伺える。 風化した砂の中で何かが光っている。

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