吟遊詩人
「なんです、その楽譜集。かなり古めかしい‥‥‥?」
ガラハッド
「なんですって言われましても、こりゃ例の楽譜集ですよ。
ありゃ‥‥?本当にやけに古ぼけてますねえ。
こんなにぼろぼろでしたっけ‥‥」
吟遊詩人
「見せていただけます?
‥‥こ、これは‥‥シャハラザードのサイン!?
でも‥‥偽物には見えない‥‥
あなた、この楽譜集をどこで!?」
ガラハッド
「?????
何を言ってるんですか、シャハラザードさん。
あなたが小生に頼んだんじゃないですか。
悪霊から取り返してほしいって」
吟遊詩人
「いいえ。そのようなことを頼んだ覚えはありませんわ。
私はつい先ほど、この塔にたどり着いたのです。
あなたに会うのも今が初めてですし‥‥」
ガラハッド
「へ?」
この女性は、シャハラザードではないのだろうか。
ガラハッドは訳のわからぬまま、事の成り行きを話した。
すると彼女は、全てを納得したようにうなずいた。
吟遊詩人
「私の家は、古くから吟遊詩人の家系でして、
一族の者は皆、諸国を巡り、
困窮する人々のために、癒しの曲を奏でてきました。
シャハラザード
「私の名前もシャハラザードと言います。
私の家では、代々この名が受け継がれているのです。
どうやらあなたが出会った人は、かつてこの地に来た、私のご先祖様ですね。
このサイン‥‥間違いないでしょう。
それにしても、この楽譜集は素晴らしいわ。どの曲も、強い想いと豊かな旋律にあふれていて‥‥。
きっと、情熱的な方だったんでしょうね。」
ガラハッド
「はあ。
そういうことですか。
‥‥‥‥‥‥‥‥
え、と‥‥
あなたは現在のシャハラザードさん。
で、あれは、あなたのご先祖様のシャハラザードさん?
つまり‥‥あれは‥‥
ほ、本物の‥‥幽霊‥‥さん‥‥!?
‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
ガラハッド
「きゅう」
シャハラザード
「‥‥あの、もし!もし!!」
シャハラザードご先祖様
「わたくし‥‥待っています‥‥」
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